安いニッポン
2024年3月25日
テレビで「youは何しに日本へ」という番組を時々視ている。治安がよく、日本の文化に興味を持っている外国人が大勢いる。海外旅行の観光地として日本に押し寄せている。「インバウンドツーリズム」という。
北海道ニセコ町が今や外国人のスキー客で西洋人の街となったとテレビで報じていた。ホテルは1室21万円、ラーメンが一杯1900円。欧米の人々が「安い、おいしい」と満足そうに笑う。街の物価が上がれば、繁忙期に働く人の賃金も上がる。時給1650円~2000円(全国平均時給1220円)。
ニセコが飽和状態になり、富良野では中国・アジア系の外国資本が侵入しつつある。「トチ売らないか。高く買うよ」と外国人バイヤーが六郷などの地域に押しかけている。
話は30年ほど前に戻るが、日本経済の快進撃がメディアで話題になっていた1989年、コロンビア・ピクチャーズをソニーが買収した。直後に三菱地所がロックフェラーグループを買収した。その年末、日経平均株価が史上最高値をつけた。アメリカの対日貿易赤字で、当時のアメリカでは日本車をハンマーで破壊する自動車産業の労働者の姿が報道された。やがて日本のバブルが崩壊し、デフレ経済で停滞し「失われた30年」と呼ばれるようになった。
私がアメリカ旅行をし、ホームステイしたのが、1993年で、当時は東京で「ビックマック」が391円、アメリカでは239円で、日本が1・6倍高かった。サンフランシスコなど数都市をバスで移動したが、ホームレスが目について、失業率の高さを認識した。
この旅行中にフレズノ大学でシールド教授から「ガット貿易」の講義を受けた。日本車は低燃費で故障が少ない。この3年ほどアメリカで売上げ1位がアコードで、「米国の乗用車の3割は日本車で、輸入増加が問題になっている」と貿易摩擦の要因を述べていた。
今年の3月4日に東証で日経平均株価が史上初めて「4万円を超えた」と報じられた。日本人の平均年収はアメリカ人の53%。今や韓国やイタリアより少ない。物価上昇がつづき、政府は賃上げで経済成長を図るが、将来が不安な消費者の購買意欲は喚起されるのだろうか。
◎プロフィール
〈 心境 〉日本のテレビでは、高額な商品が売れないので宣伝を流さない。ある本で読み、妙に納得した。