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エッセイSP(スペシャル)

ペンと紙と辞書

梅津 邦博

2024年5月13日

 ペンと紙があるととてもありがたくて嬉しくて助かる。ペンは、本当は万年筆なのだがちょっともったいなくてプラチナの3色ボールペンを使っている。紙はB5サイズほどのものやチラシなどで、何かを考えたり思いついたりした時など忘れないようにするためにも書き留めておく。そうすると安心であり、記録にもなるのだ。神は人を創り、言葉と文字を与え、生きてゆくための知恵を与えてくれた。それによって人類は発展してきたのだった。
 紙は無論のことペンのようなものもあるはずがない太古の大昔、それは文字以前の時代だったのかも知れない。原初的なものとして、石を叩いて割ったりして先を尖らせたもので、岩、粘土板、獣骨、樹などに切り付けたりして何らかの印や絵文字を記していたのだろう。そういう何万何十万年もの前の遺物が現存していることに、気の遠くなる思いにあふれてならない。凄いことだ。いかに人間の思いとか行為というものは生命力あふれたものかと茫然たる思いがして、椅子の背凭れに仰け反ってしまう。
 仕事に行く、街へ散策に行く、夕暮れ時に軽く飲みに行く、どこへ行くにしても必ずペンと紙はショルダーバッグに入れて、さらにもうひとつ小型版「新明解国語辞書」も入っているのだ。ぼくにとっては三種の神器で心強い。まだほかにもある。ボールペンの替え芯、辞書の細かい文字を確認するためのメガネレンズくらいのルーペ、ミニ消しゴム、などというわけでいろんなことについて文章を書いているのだが、はたして神器を通しているといえるほどのものを書いているのかどうか。
 いつ何時、突然にして上の方から、あぁ、来た、来た、と何かの事やフレーズがぼくの頭に降りて来るやもしれないのだ。そういうことによってちょっとしたメモくらいはいろんなところで書いている。昔は時にはスナックのカウンターで、浮かんできたものを書き留めずにいられなくてメモを出して書いていると、女の子たちにあきれられ、ママに「あんた何しに来たの!」と怒られる始末だった。
 「いや、ちょっとまって、すぐ終わるからさ」。
 他には喫茶店のカウンター、居酒屋のテーブル、変わったところではホール内の端の階段を上がった2階を歩くと書きたいもののフレーズが浮かんできて、幅25センチほどの手摺の平面にてちょっと書いていたこともある。場所を選ばないのである。
 で、果たして何をどんなものを書いているのかということがとても重要なことなのだが、ま、胸を張っていえるほどのことにはなってはいないのではないか。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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