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エッセイSP(スペシャル)

世界は...

梅津 邦博

2024年6月10日

 ニュースなど見れば、世界中の人々が日本にひっきりなしに観光旅行に来て歩き回っている場面にはすごいなと思う。まるで平和なのだと思ってしまう。
 帯広の鉄南地区西南大通りの分離帯には桜やツツジなどがあちらこちらに観える。気分がいいなと思ってもしかしどこか重くなっていく。生活していれば、執筆するべく何行かメモを執ると後にそれを下にして出来てくる。家ではなくとも行き付けの店のカウンターで思い付くこともある。
 それにしても地球儀を回すと、ロシアとウクライナ、中近東、東シナ海関係国、アフリカの一部の国々、中南米等々、と争いが絶えないところが多い。日本で人々は日常生活にあってどのくらいの感覚を、もっとはっきり言えば恐怖感や絶望感を感じ取っているのだろうかなどと思う。頭や感覚でそういうことを思っていても時間とともにそれらは薄らいで現実の面白さ愉しさなどのなかで生きてゆくのではないか。そうしないと生きていけないということになるのかも知れない。
 昭和30年代のある時期から世界はこれから厳しい世の中に入ってゆくとされていることを聴いたことがある。当初はどういうことなのかよくわからなかったが、段々と世の中が、世界が、そうなってきていることに気付き、正直言って恐ろしさを覚えてならない。世界が壊れてきているのはこの事だったのかと分かってきた。日本も戦後と言われた時期に高度成長を迎えたが、いつまでも続くわけがないのだ。資本主義社会にあって欲深い人間達がいる以上、明るく幸せな日々など続くはずがない。世の中には大変なことがさまざまにあり、経済界にしても粉骨砕身やってきているといってもすべてが発展するわけではないだろう。
 また、本当に国の為なのか国会議員になったとしても、正しく務める者などどのくらいいるのだろうかと思えてならない。人間は完成されたものではないし、とてもじゃないが務めるなどというのは不可能に近い話に聞こえてならない。
 どこかで正しい想念が大事ですと聞いたことがある。なんだかクソマジメで古臭いような気がしてならなかったが、異常な世の中になってあらゆることが破れ割れしていることを見聞するにあたって、本当にそうなのだという気がしてきている。
 救われない思いがしてならない。社会や人々に変革が起きる場合、それは多くの人々によってなされるのか。それともひとりの偉大な人が現れ、やがて多くの人々が就いてゆくということにでもなるのか。もしかして救世主はすでにどこかに顕れているのに人々はまだ気付いていないということなのだろうか。
 結局、正しき者は歩いてゆくということができるのではないか。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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