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エッセイSP(スペシャル)

帯広で暮らす

梅津 邦博

2024年7月 8日

 週末の昼、街中を散策していた。空高く、銀青色の光が満ちあふれている。ゆるやかな風もあってどことなく水の匂いもする。碁盤目の道が街並みをつくり、郊外の直線道路や防風林を思い起こさせる。やがて畑地で豆、ジャガイモ、小麦などが伸びて列をなしてくるさまが瞼に浮かぶ。
 ここは十勝の田園都市帯広である。地方都市として15万人位がちょうどいい大きさの街ではないかとも思っている。そして、どこまでも広がりゆく九天の空と平坦な大地は人との世界をくっきりと描いている。
 夏は太平洋からの風が陽の光と熱気を煽り、暑い時は35度を超えて遠い南の国からのどこか賑やかさが広がっているかのような感じもしてならない。冬はシベリヤからの風が日本海を渡って上陸し、大雪山系や日高山脈を超えて滑りながら引き締めるように気温もマイナス20度以下へと下がって、人々を鍛えてゆくのだった。
 数十年前の東京時代、日本のいくつかの地へ旅をしたことにより、帯広十勝の美しさを識ることになった。そしてまた生きてゆくことの厳しさと哀しさと楽しさを繰り返しつつ、自然から迫ってくる何かは肉体的精神的なる生命の根幹がはずんでゆく心地ではないか。帯広で生まれ育って住んでいるということは、光と水と空気のそれぞれから迫りくるものがあって生きてゆくということでもあるのだろう。住んでいる地域についてどう思うかは、その人々の心が自らどうデザインしてゆくかということではないか。
 脳の内側のありようはさまざまに働いているではないか。あれをしなくてはならない。これを行わなくてはならない。時間がないから早く取りかからなくてはならないだとか...。生活や空間というものが、自分という人間を何とか支えてくれているのだ。なのにときおり何らかのことで煽られてしまったりなどしてたまらない。
 つまることろ自分にさまざまな問題が起きてフラフラしてしまうからなのだ。いいトシ超えてきているのに、どうしたらいいのか...。いや、実はまだまだ若いのかもしれないな。とにかく仕方がない。なるようにしかならないのだから。

◎プロフィール

帯広市出身。自営業。文筆家。趣味/映画・街歩き・旅・自然光景鑑賞。著書 銀鈴叢書『札内川の魚人』(銀の鈴社)。銀鈴叢書『歩いてゆく』(銀の鈴社)。

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