仔犬がきた日
2022年5月30日
私は犬や猫が好きだ。テレビでその類いの番組があると、できるだけ観ている。また、散歩中に犬連れの人と会うと、つい視線が犬に向いてしまう。とくに柴犬の動作やその表情が好きだ。 子どもの頃に犬好きな子は、「犬を飼いたい」と親にせがむことがあった
ご縁・・
2022年5月23日
子どもの頃、家の周りは町工場が多く、そこかしこに折れた釘や鉄くずが落ちていて、紐で繋げた磁石を引きながらジャリ道を歩くと面白いほど集まってくる。これを廃品回収に持って行くとその日の小遣いくらいになった。 磁石はプラスとマイナスの二つの極が
客に応対するスタッフ
2022年5月16日
ぼくはそんな立派な人間ではないが、でも社会の一員には違いないと思うからちょっと気になることを話してみたい。ショッピングセンターやサービスショップなどへ行くと、応対振りがよくないスタッフがいたらガッカリしてしまう。本来、その関係構造は「お客
出会いのないロマンス
2022年5月 9日
「私結婚するんです」 爆弾宣言だった。彼女は齢五十歳。独身、結婚歴無し。これまで交際歴無し。恋愛には疎い人なのかと思っていた。 いきなりの告白で、反射的におめでとうの一言が出たものの、私の顔はきっと驚くというより引きつっていたかもしれない
失敗に学ぶ
2022年4月25日
「失敗しなくちゃ成功はしない」とココ・シャネルはいう。 私はシャネルのように大成功した人間ではないが、仕事の失敗は成長をうながすという言葉に同感だ。 札幌時代に、ポスターの描き文字が誤字で刷り直した。社長に呼びだされて叱責された。「校正は
はげむ・・
2022年4月18日
この冬はことのほか雪が多く、玄関前の雪山は日を追うごとに高くなった。それでも3月後半には、陽射しが暖かさを運んで来ると雪融けが始まる。やがて周りの視界が広がると気持ちも明るくなり、早朝からせっせと雪かきに励んだことすら忘れてしまう。 こう
ラーメン
2022年4月11日
帯広の鉄南大通りに築何十年も経っている建物があり、一階に店が2軒並んでその右側はラーメン屋である。暖簾をよけて曇りガラス戸をガラガラッと開ける。L型カウンターの中にいる主人と一瞬目が合った。「どうも」「あぃ...」「味噌!」 奥へ縦長の店
無
2022年4月 4日
知人の愛犬が亡くなった。十四歳。寿命かもしれないが、家族を失う悲しみほど辛いものはない。電話の向こうから聞こえる涙声の訃報に、返す言葉は見つからない。最期を見送ってねと短く告げることしかできなかった。 数年前、私も愛情を注いできた愛犬を失
話しかけた子供は
2022年3月28日
写真を撮って文を書いている。フリーな契約で取材を始めて8年ほどになる。 思い返すとコンサートや落語、イベントなど楽しい会場に足を運んだ。聴くだけなら楽しいが、私は内容を把握して写真を撮らなくてはならない。仕事なので心底からは楽しめない。右
mask・・
2022年3月22日
子どもの頃に観ていたテレビのヒーローは、普段は身近にいるオジさんやお兄さんだが、ひとたび事件が起きると布で顔を隠しマントを翻して正義の味方として活躍する。 これを真似したのが、当時の〝ヒーローごっこ〟であり、風呂敷を肩にかけ手ぬぐいでマス