うに丼と積丹ブルー
2015年8月 3日
平日の朝の札幌駅はいつも通り通学通勤の人達が忙しそうに行きかっていた。北口の団体旅行の集合場所付近だけは様子が違い、中高年が集まって楽しそうにお喋りをしている。今日は金曜日。休みを取って初めて日帰りバス旅行に参加するのだ。ツアー名は「
釣り友
2015年7月27日
5月初めだった。 電話に出ると「アラン・ドロンさんですか」と男の声がした。戸惑っていると、寅次郎です、と名乗った。 お互いが笑い声になった。釣り友のNさんだった。彼とは7年ほど会っていなかったが、時々メールで冗談を伝えあってい
並ぶ・・
2015年7月21日
そこは、房総半島の真ん中あたりの富津市、内房線の浜金谷駅近くに建っている。目の前は海で、対岸の三浦半島をフェリーが結ぶ。東京からはアクアラインを抜ければ、車で1時間半の近さだ。 金谷美術館の開館5周年記念特別展として、房総を物語の
勤め先を辞めるな
2015年7月13日
社会において「何事かについてそれはおかしいことだ」などと言ったら、「今はそういう時代だから」という言い方がある。あきらかに歪んでいるのに、仕方がないとでも思っているかのようなふしに納得がいかないのだが。時代を生きている人間の質というも
浸水
2015年7月 6日
「歳のせいか夜中に必ずトイレに起きるんだよなあ」 年配の人との会話の中でしばしば聞かれるフレーズだ。自分を密かに眠り姫と名付けるほど若い頃寝てばかりいた私も、50歳半ばで目覚まし時計不要の早起きが定着した。しかもすっきりと覚醒でき
ジョバンニ
2015年6月29日
たとえば作陶によって干支の置物をつくる場合、作家によっては素晴らしい作品がある。そこからは何かしら存在感のようなものが伝わってくるのだ。価値があるとはそういうことでもあるのではないか。それは食品でも同じことがいえるだろう。 パンに
生きつづけた勉三
2015年6月22日
吉田政勝氏が『流転 依田勉三と晩成社の人々』を上梓した。これはすでに出ている依田勉三物の書籍を史実に照らし合わせて調べ、誤りなどを正して書きつづけた労作で、まるで太安万侶みたいだ。 読み進めるうちに、吉田氏が書きうる衒いのない内容
着る・・
2015年6月15日
背広を脱いで6年余り経つ。クローゼットに背広10着、ネクタイ数十本がクリーニングのビニールのままで眠っている。 いまはジーンズとTシャツ、冬はトレーナー姿で過ごしてきた。運動と言えば歩く程度。大のお菓子好き、チョコレート・ビスケッ
釣りと人生
2015年6月 8日
ある企業の社内報を手にとった。「これ見て」というH社長のコラムを読みはじめた。 「趣味の一つに釣りがあります。私の信条は単純で『魚のいないところでは釣れない』。当たり前のことですが、私は釣れないとすぐ移動し、餌を新しく付け替えます
ほどほど
2015年6月 1日
ある朝、職場の食堂のテーブルの上で可愛い花が咲いていた。艶のいい濃い緑の葉が鮮やかな黄色い花をさらに引きたてている。ヤチブキ。エゾノリュウキンカという呼び名の方が私は好きだ。職員の一人が採ってきたとのことで、その日の給食に早速ヤチブキ