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エッセイSP(スペシャル)

怒る人

2013年4月22日

 眠れない夜はラジオを聴くことが多い。暗闇で目を閉じているとつい耳をそばだてる話題もある。最近、ラジオで聴いたこんな話に感心した。  中華料理の店にある男が入ってきて、ラーメンを注文した。ややすると運ばれてきたラーメンを口にした客は、

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仰ぐ・・

2013年4月15日

 桜前線が春の訪れを告げた。「花は桜木、人は武士」と一休禅師の言葉にあるように桜は侍の潔さに喩えられ、山河に彩りを添える。ふるさとの小田原城も桜の真っ盛りだろうと想いを馳せながら富士山を眼下に西を目指す。  福岡空港に降り立ち、九州を

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久し振りのカツ丼

2013年4月 8日

 早春の突き抜けるような青空の昼、「カツ丼」が食べたくなって出かけた。  カツ丼。なんという力強さと旨さが漲る響きであることか。夢と希望の世界が感じられ、どんぶり物のなかでなんと言われようと「天下のカツ丼」なのである。食べに行くときは

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アンタ...だ

2013年4月 1日

 午前五時前。アチッ…と眼が覚め、ア、やってしまったな、と思った。湯タンポの上に片足を乗せたままになっていたようで、蒲団のなかで膝を引き上げてちょっと手で触れてみたら、濡れたものがあった。水脹れになっていたのが破れたらしい

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四十三年前

2013年3月25日

 まちの図書館で本を借りようとして玄関にはいると左側にお知らせのパンフレットが並んでいた。その棚に「高橋揆一郎の文学」という文字が見えた。手にとると、北海道立文学館での展示会のチラシだった。  作家・高橋揆一郎氏は、2007年に亡くな

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粋な・・

2013年3月18日

 花弁雪に芝居の殿堂が佇む。さっぽろ雪まつりの大雪像で登場した五代目の歌舞伎座。視覚効果は充分なのに聴覚に響くものがない。観光客らしき女性たちの「長唄が流れていたら粋なのにね」との会話に頷いてしまった。  歌舞伎は京都で出雲の阿国が踊

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桃源郷のバーバー

2013年3月11日

 髪が伸びてきてだらしない感じになると、わさわさと落ち着かなくなる。それは家の中や周囲をゴミなどで散らかしているのと気分的に同じでもある。従ってバーバーへ向かった。  小柄でのっそりと少し左右に揺れるようにしてマスターが現れ、「どうぞ

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恩 師

2013年3月 4日

 病院の待合室で自分の順番を待っていた。先週採血した、その検査結果が知らされる日だった。混雑する待合室で「中村悦雄さん」と呼ばれている。もしや、高校時代の恩師ではないか、と前方を見つめた。椅子から立ち上がり左へと高齢者の男性が歩いていっ

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ごほうび

2013年2月25日

 深夜勤務は、23時に売り上げの精算をしてから、後片付けである。何かのアクシデントがあると5分10分が、たちまち過ぎてしまう。24時の退社まで時計を見ながらの冷や汗の綱渡りである。  業務が終わると、お疲れさま、と同僚にねぎらいの声を

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輝き・・

2013年2月18日

 三度目の転勤で帯広を離れるとき、ひとり一人と別れを告げるには時間が足りないことから友人が音頭を取り、送別の宴を張ってくれた。それは仕事以外で知り合った人たちが一堂に会すると言う思い出深いものとなった。  歳月は流れても年賀状での交流

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