
眠りの一歩前
2023年7月 3日
だいぶ昔の漫才のネタで、地下鉄の車両をどうやって地下に入れるのかを考えると夜眠れなくなるというのがあり、大いに笑いをとった。「地上に通じる線路があって、そこから出し入れするに決まってるじゃん」 十人いたら一人くらい真顔でそう答える人がいそ

さようなら不発の五月
2023年6月 5日
五月からマスクの着用が個人の判断によるものとなった。それに小躍りして、一気にタガが外れたわけではないが、無意識に気が緩んだのだろう。連休明けから突然体調を崩し、胃痛、風邪、腰痛、膀胱炎と、芋づる式にあらゆるものに負け続けた。 中でも膀胱炎

今を生きること
2023年5月 8日
生老病死。生きること、老いること、病になること、死ぬこと。この四つは人間がこの世で生きている限り、自分の思うようにならない苦悩だという仏教用語だ。日々の生活が万事うまくいっている時には決して思い浮かばない言葉であろう。 知人の夫が現在病に

夢の行方
2023年4月 3日
レオナルド・ディカプリオと渡辺謙が出演する『インセプション』という映画がある。無意識下、つまり夢の中を舞台としたSFで、他人の夢に入り込み任務を遂行するという奇想天外なストーリーだ。しかもその夢は三層の深さに分かれているという、複雑でスリ

一円の祈り
2023年3月 6日
旅先で神社仏閣を訪れるのが好きだ。名刹に限らず、御朱印目的でもなく、知識があるわけでもない。街歩きの途中偶然古寺や神社に出会う時「私は導かれここに辿り着いた気がする」などとファンタジックな運命を抱く。その出会いに感謝し、丁寧に参拝する。

それぞれの事情
2023年2月 6日
今年の正月午前零時四十分。私は京都東山区智積院の境内で除夜の鐘を打った。もやもやしていた事が、大きな鐘の響きと波動で一気に消え去ったようだ。今年は慎重な性格でありつつも、これと決めた道をグイグイ進もう。重いガウンを脱ぎ捨て、晴れ晴れと今年

除夜の鐘
2023年1月16日
「昨年は大河ドラマで街も賑わったことでしょう? そういえば、養老孟司先生のお住まいも確か...」「ええ、駅で何度かお見掛けしたことがありますよ」 鎌倉から来たという中年のご夫婦が答えた。話すたびにめがねが曇るのが鬱陶しいようだ。「北海道は

ダークイヤー
2022年12月 5日
結局三年たってもコロナの終息は見られず、令和四年も終わろうとしている。長いようで、慣れて過ぎてしまえばあっという間で、また「一年は速いね」という常套句の挨拶を交わしあう時期となった。この一年、国内外共に暗いニュースの多い年だった。 今年は

思い出を呼び起こす
2022年11月 7日
フランシス・コッポラの映画『ゴッドファーザー』全三部作が、三週連続BSで放送された。第一作公開から五十周年記念企画だったらしい。半世紀の時を経ても褪せることのない大作だ。テーマ曲『ゴッドファーザー愛のテーマ』の美しくも物悲しい旋律は、裏社

グレイヘア
2022年10月 3日
ある時ふと、グレイヘアにしたいと思った。 近藤サトさんが火付け役だったろうか。『白髪をあえて染めない生き方』なるものに多くの共感が寄せられている。まだ五十代なのに白髪をそのままにしておくなんて、しかも人前に立つ仕事をなさっているにもかかわ