またね・・
2021年7月19日
子どもの頃、夏になると葉生姜がちゃぶ台を飾っていた。生味噌を付けてかじると、辛味も程よく風味があり、夏が来たと感じるのだった。東京の谷中で栽培され、江戸っ子に人気があったそうで、関東生れの私には谷中生姜の名で馴染み深い。 数年前、札幌駅に
ゆるむ・・
2021年6月21日
毎年訪れている東京や京都では、博物館や美術館で開催される特別展と歌舞伎やコンサートにも足を運んでいた。これが中止や延期されたことで、必然的に飛行機に乗らなくなり、かれこれ1年半が過ぎようとする。最近はテレビの映像などで、空港のロビーや搭乗
笑顔・・
2021年5月24日
幼い日、歯医者で白い布に覆われた顔が目の前に迫ってくると怖かった。治療が終わりマスクを外した先生の笑顔を見てホッとした覚えがある。 日ごろ風邪で咳が止まらないとき以外は使うことのないマスクが、まさか生活の一部になろうとは想像だにしなかった
さくら・・
2021年4月19日
スマホのディスプレー画面で、鮮やかな紫紅の壁紙を見ていると気持ちが明るくなってくる。これは一昨年3月、京都の一条戻橋で撮った早咲きの河津桜であった。 毎年、桜の季節を迎えると隅田川堤、名古屋城や大阪造幣局、京都琵琶湖疎水などを訪ねている。
てすり・・
2021年3月15日
初めてエスカレーターに乗ったのは、子供の頃に連れて行って貰った東京のデパートだった。動く階段が面白く、何度も上ったり下ったりして叱られたことを思い出す。 今、エレベーターとエスカレーターのどちらを利用するかと言えば後者が多い。駅のホームや
あおぞら・・
2021年2月15日
晴れ間を見計らい家の前を除雪するのが日課となった。年末から比較的軽い雪で足腰への負担も少ない。だが、これから水を含んだ重たい雪に変わる。 朝方に目が覚めると先ず窓のカーテーンを開ける。そこは一面の白さで覆われているのだが、ニュースで岩見沢
キーボード・・
2021年1月25日
パソコンが壊れ修理に出したことから、原稿やラジオの構成表は手書きを余儀なくされた。ところが、いざ始めてみると、漢字はこれで良かったのか、送り仮名がはて、どうだったなどと迷うことに・・。さらに困ったことには、書く字数がはみ出してしまう。おま
キウイ・・
2020年12月21日
これまで、毎朝快調に済ませていたのが、1年ほど前のある日、お腹が張ってきた。それが1日過ぎ2日過ぎても一向に気配はなく、モンモンとした〝ふんづまり〟の状態に陥った。 人から聞いた話に、こんなときの座る姿勢は、ロダンの〝考える人〟がよいとあ
かまぼこ・・
2020年11月16日
故郷の神奈川県小田原市を代表する名産品は〝かまぼこ〟であり、生家の向いの蒲鉾工場に父が勤めていた。朝な夕な機械の喧騒を聞いて育ち、物心付いた頃から蒲鉾の味に親しんできた。 いま手元に父が遺した黒い表紙のルーズリーフがある。くすんだ茶色の紙
秋色・・
2020年10月19日
季節が移ろい暑さで休んでいた散歩を再開する。初秋の昼下がり、サイクリングロードを兼ねた遊歩道を往くと、前方からシャーっと音が聞こえ、アッと言う間に自転車と擦れ違う。後ろでヒタヒタと軽やかな足音がした瞬間、マラソン人に追い越された。春に初め